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・上張りは安くて早いと言われたけど、あとで問題は出ない?
・今ある床のきしみも、張れば直るのかな…
床のリフォームで「上張り(重ね張り)なら安くて早いですよ」と勧められることがあります。既存の床をはがさずに、上から新しい床材を張る工法です。
ただ、ここで押さえておきたい前提があります。
上張りは、傷んだ床を直す工法ではありません。健全な既存床を残して、仕上げだけを更新する工法です。ここを取り違えたまま契約すると、後悔につながります。
フローリング上張りでよくある後悔
・入口の段差と見切り材が思ったより目につく(いちばん多い)
・クローゼットの折れ戸や床下収納が干渉する
・今ある床鳴りが残る、または音が変わる(いちばん深刻)
・薄型の床材が想像と違う質感だった

この記事では、リフォーム会社で働く建築士の目線で、上張りの後悔を整理します。よくある失敗、後悔しやすい家、失敗しないための対策の順でお伝えするので、自分の家の床に上張りが向くかが見えてくるはずです。ぜひ最後まで読んでください。
フローリングの上張り(重ね張り)とは

上張りは、既存の床材をはがさずに、その上から新しいフローリングを張る工法です。重ね張りとも呼ばれます。
既存の床をはがして張り替える工法と比べたときの利点は、解体をしないぶん、廃材とほこりが出ず、工期も短く済むことです。メーカーも上張り工法の利点として、解体・廃材・工期の削減を挙げています。
現場でも「住みながら工事できて助かった」という声はよく聞きます。ただ、その利点が活きるのは既存の床が健全なときだけです。次の章で、実際に多い後悔を見ていきましょう。
フローリング上張りで後悔する理由【よくある失敗】
現場で聞く後悔を、多い順に4つ紹介します。
入口の段差と見切り材が目につく
いちばん多いのがこの不満です。床材と接着剤の厚みだけ、確実に床が上がります。
カタログの写真では小さく見えても、廊下との境や洗面所の入口に金属や樹脂の見切り材が入ると、毎日目に入ります。
一室だけ上張りした場合はさらに顕著です。床の色だけでなく高さや巾木、見切りが途中で切り替わるため、部分補修をした感じが出てしまいます。
完成写真だけで説明されると段差は伝わりません。契約前に見切り材の現物を床に置いてもらい、入口からどう見えるかを確かめてください。
収納扉や床下収納が干渉する
建具の干渉というと部屋の開き戸を思い浮かべますが、現場で見落とされやすいのは収納側です。
クローゼットの折れ戸、物入れの扉、床下収納のふた、床に付いた戸当たりは確認から漏れがちで、張り終わってから開かないと気づくことがあります。
床にはわずかな高さのばらつきがあるため、ドアが閉まっている状態の隙間だけを測っても足りません。全開する範囲まで実測しておく必要があります。
今ある床鳴りが残る、または音が変わる
不満の数では段差に負けますが、深刻さではこれが最大です。
上張りは、既存の床を締め直す工法ではありません。古い床の継ぎ目が動いていれば、新旧2層の床がこすれて音がかえって複雑になることがあります。
やっかいなのは直し方です。段差や建具の干渉は施工前に寸法を拾えば避けられますが、既存床の動きを見誤った床鳴りは、張ったばかりの新しい床を部分的にはがさないと直せないことがあります。
薄型の床材が想像と違う質感になる
段差を抑えるために薄型の床材を選ぶと、今度は質感で引っかかることがあります。
小さなサンプルでは色しか見ないまま決めてしまい、施工後に光沢が強い、プリント柄の繰り返しが気になる、想像より硬いと感じるケースです。
厚みのある無垢材のような踏み心地を期待していると、ギャップが大きくなります。できるだけ広いサンプルを、実際の部屋の明るさで見せてもらいましょう。
フローリング上張りで後悔しやすい家の特徴
上張りが向くかどうかは、好みより家の状態で決まります。次に当てはまる家は慎重に考えてください。
歩くと床が沈む家
かかとで踏んで明確に沈む、部屋全体がふわふわする、といった床は上張りに向きません。
合板が層状にはがれている、掃き出し窓やキッチンの足元に黒ずみや膨れがある場合も同じです。上張りで表面はきれいになりますが、沈みやきしみを直す工事にはなりません。
不具合が残ったまま新しい床を張ると、あとで両方はがして直すことになります。「安いから上張りで」と考える前に、まず原因を確かめてください。
高齢の家族が暮らす家
床が上がるということは、部屋の入口に段差が生まれるということです。
厚みが12mm前後になると段差は明確になり、つまずきの原因になりかねません。バリアフリーを優先したい家では、上張りそのものを見直すか、薄型材と段差解消材を前提に計画します。
入口だけでなく、廊下全体との高さ関係で考えるのがポイントですよ。
防音規約のあるマンションの家
マンションの上張りは「マンションだから不可」でも「薄い床材なら何でも可」でもありません。既存の床と上張り材の組み合わせで決まります。
実際、クッション付きの防音フローリングへの上張りを、接着不良や床鳴りの原因になるとして不可としているメーカーもあります。(出典:DAIKEN)一方で、防音直張り床への施工を想定した専用商品を出しているメーカーもあります。(出典:パナソニック)
あわせて管理規約の確認も必要です。国土交通省のマンション標準管理規約でも、フローリング工事は他の住戸へ影響するおそれがある工事の例とされ、遮音性能や材料、工法を審査する考え方が示されています。(出典:国土交通省)最終的には、そのマンション独自の規約が優先されます。
逆に、既存の床が健全で、傷や色あせだけが気になる家、工期やほこりを抑えたい家、床暖房を壊さず仕上げだけ更新したい家では、上張りの利点がそのまま活きますよ。
フローリング上張りで後悔しないための対策

ここからは、後悔を減らす3つの対策です。
下地を点検してから決める
上張りにできるかどうかは、現地で歩いて確かめるしかありません。
現場では部屋の中央だけでなく、掃き出し窓の前、キッチンの前、家具の跡、壁際、床材の継ぎ目を順に踏んで、沈みや床鳴りの出方を見ます。写真だけでは、沈み方の程度も床鳴りの種類も判断できません。
傷んだ箇所が一部だけなら、そこを開口して下地を直してから上張りする方法もあります。ただし補修箇所がいくつも出るようなら、最初から全面張替えのほうが結果的に安く収まることもあります。
段差の納め方を確認して決める
納め方は床材の厚みで変わります。1.5〜3mm程度の薄型なら薄い見切り材や既存の敷居内で納められますが、6mm前後だとスロープ型の見切り材、12mm前後になると段差そのものへの対策が必要です。
建具を加工する場合、木製の開き戸なら取り外して下端を切れることが多いものの、中が空洞のフラッシュドア、下端に補強材が入った扉、戸車のある引き戸や折れ戸は簡単に切れません。
費用の感覚としては、床工事と同時に木製の開き戸を加工するなら1枚8,000円〜2万円程度、建具屋を単独で呼ぶと1万5,000円〜3万円程度を見ておくと大きく外しません。加工できず扉ごと交換になると、さらに上がります。
張替えとの費用差を比べて決める
意外に思われるかもしれませんが、上張りが張替えの半額になることは、それほど多くありません。
6畳程度の部屋では、職人の最低人工や車両費、養生、駐車場といった固定費が乗るためです。さらに薄型の専用品は材料単価が高めで、そこに建具の加工と見切り材が重なると、張替えとの差はぐっと縮みます。
比べるときは、床材のグレード、既存床の撤去費、廃材処分、巾木、見切り、建具加工、家具移動、下地補修を同じ条件にそろえてください。条件がずれた見積書を並べても、正しい比較になりません。
床のリフォームは張替えも並べて比べる
見積もりから漏れやすいのは、床材そのものより周辺の工事です。
ドアや収納扉の下端加工、見切り材、巾木の交換、床下収納のかさ上げ、洗濯パンとの高さ調整、家具の移動、マンションなら申請書類の準備まで含めて、はじめて総額が出ます。とくに床を一部はがして下地を確認したあとは、根太の補強や下地合板の交換が追加になりやすいところです。
あわせて、将来もう一度張り替えるときには2層分の撤去費がかかる可能性があることも、頭に入れておいてください。
工法ごとの費用の目安は、こちらでくわしくまとめています。

上張りでいけるかどうかは、現地を見ないと判断できません。同じ条件で複数社に見てもらうと、自分の家の床に合う工法と適正な金額が見えてきますよ。
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まとめ|上張りの後悔は「下地の見極め」で決まる
フローリングの上張りは、安さのための代替工法ではありません。既存の床が健全なときに選ぶ、省施工の工法です。最後に要点をおさらいします。
・いちばん多い後悔は入口の段差と見切り材。現物を床に置いて確認する
・見落としやすいのは開き戸より、クローゼットの折れ戸と床下収納
・沈みや床鳴りは上張りでは直らない。むしろ音が複雑になることがある
・マンションは既存床と商品の組み合わせ次第。管理規約の確認も必要
・6畳程度では、上張りが張替えの半額になるとは限らない
上張りで注意したいのは、床材の数ミリよりも、その数ミリを入口・収納扉・見切り・床下収納まで誰が拾って納めるかですよ。
よくある質問にもお答えします。
Q. フローリング上張りのデメリットは何ですか?
A. 床が上がって段差ができること、床下の状態を確認できないこと、既存の床鳴りが直らないことです。とくに沈みやきしみのある床では、上張りしても不具合が残ります。
Q. 上張りと張替えはどちらがいいですか?
A. 既存の床が健全なら上張り、沈みや腐食があるなら張替えが基本の考え方です。上張りは工期が短くほこりも出ませんが、床の傷みは直せません。まず下地の状態を確認してから選んでください。
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